配属希望の方へ
どんな研究をしているの?
固体物性の理論的研究を行っています。詳しい研究内容はこちら。
大学院入試からグループ配属まで
大学院理学研究科・物理学専攻の入学試験を受ける際、希望研究グループに"物性理論(理学部)"を指定してください。固体統計物理学講座(物性理論講座)では大学院指導教官の決定は、入学試験合格後に行います。石原グループを希望する方は、それまでに石原に連絡を取り、研究内容や指導方針について説明を受けて下さい。またグループ・セミナーに出席したり、グループに所属する大学院生から研究や生活について話を聞くことをお勧めします。配属決定後、希望する方に対してはグループ・セミナーへの参加や、課題研究に取り組むことを勧めています。
大学院では何をするの?
大学院生の目的は修士や博士の学位を取得することです。このために課題研究を行い、研究成果を学位論文としてまとめ、発表します。大学院の講義や輪講、専門書や学術論文による勉強は、課題研究を遂行するうえで必要となります。
大学院生として何が望まれるの?
これまでに誰もやったことの無い研究を行うわけですから、自然や物理に対する大きな興味、新しいことをやろうとする意欲、困難に立ち向かう根気を持ち合わせていることが望まれます。大学院入学までには、高度な学習内容を習得するよりも物理学の基礎(物理数学、力学、電磁気学、量子力学、統計力学、固体物理学の基礎)をちきんと習得してください。教科書を読んだり演習書を解いた後に、自分で考える癖をつけることが大変重要です。英語・英会話やコンピュータに関する知識は、(もちろん精通していればこれに越したことはありませんが)通常の大学4年生程度の知識で十分です。
具体的な大学院生活は?
博士課程前期(修士)一年:
大学院講義の聴講が大きな割合を占めます。修士課程一年目に(課題研究以外の)必要単位を修得することを勧めます。グループ・セミナーでは、前半は主に論文紹介を、後半は課題研究について研究発表を行います。ここでは自ら発表すると共に、メンバーの発表を聞いて活発な議論をしています。講義以外の時間は、各自の学習や研究を行うことになります。また希望する学生を対象に輪講を実施しています。修士一年の中ごろから終わりにかけて、修士論文のテーマについて石原と相談して決めます。また多くの場合、修士一年の後半に修了後の進路を決めています。
博士課程前期(修士)二年:
本格的に修士論文の課題研究に取り込むことになります。民間企業に就職する学生は、修士一年の末から修士二年にかけて就職活動を行います。グループ・セミナーでは、課題研究の進捗状況の報告が中心となります。通常12月には修士論文を書き始め、1月末に修士論文の提出、2月初めに論文発表会が開催されます。
博士課程後期(博士):
後期課程一年の初めに、石原と相談して博士論文の研究テーマを決めます。常に議論を繰り返しながら研究を進めますが、研究計画や方法等について自ら進め無ければいけないウエイトが次第に増してきます。研究成果を発表するために、学術論文の執筆や国内外の研究会・学会への出席・発表が不可欠となります。博士論文審査(予備試験、最終試験)で、一人前の研究者として認められると博士の学位が授与されます。
修士論文テーマ
令和元年度
・今井渉平 『低次元相関電子系における高次高調波発生の理論』
平成30年度
・北川皓也 『多軌道強相関系における電子格子相互作用と電子構造』
・山下竜律 『二重交換模型におけるスピン・ダイナミクスの研究』
平成29年度
・高本幸佑 『強い相関のある電子系における有限温度物理量の数値的研究』
・佐藤直道 『固体酸素における分子状態と電子状態の理論』
平成28年度
・辰野太郎 『強相関電子系における励起子絶縁相と磁場効果』
・Aji Seno 『Effects of Rashba-type spin-orbit interaction on magnetic property in double exchange model』
平成27年度
・小野淳 『低次元ハバード模型における光誘起現象の数値的研究』
・地家康平 『光キャリアのある2次元モット絶縁体における電子状態の研究』
・溝口瑛莉子 『軌道自由度のある強相関系のスピン転移と励起子絶縁体相の研究』
平成24年度
・橋本博志 『梯子型強相関電子模型における光照射効果』
平成23年度
・関根聡彦 『ダイマー内の電荷自由度がある系における超伝導の理論』
平成22年度
・柴田眞輔 『遍歴電子軌道模型の弱相関からの研究』
平成21年度
・井上雄太 『スピン状態自由度のある強相関電子系における光誘起現象』
平成20年度
・鈴木亮 『多軌道ハバード模型におけるスピン転移の研究』
平成19年度
・金森悠 『二重交換模型における光誘起電荷スピンダイナミクス』
・那須譲治 『蜂の巣格子上の軌道模型の理論的研究』
・吉本一紀 『ペロフスカイト型コバルト酸化物のスピン状態と軌道状態』
平成18年度
・中惇 『層状三角格子鉄酸化物における電荷のフラストレーションと電気分極』
平成17年度
・井原聡志 『軌道自由度を有する系における共鳴非弾性X線散乱の理論的研究』
・佐藤健太 『ペロフスカイト型マンガン酸化物の電荷秩序相における光照射効果』
・長野あや 『層状鉄酸化物における電荷、スピン、軌道構造とフラストレーション』
平成16年度
・田中孝佳 『KCu1-xZnxF3における軌道自由度
の希釈効果の理論的研究』
博士論文テーマ
平成30年度
・小野淳 『光誘起高速スピンダイナミクスの理論』
・Hengyue Li 『Theory of optical responses in multi-orbital systems with strong electron correlation』
平成27年度
・橋本博志 『電荷秩序系における光誘起ダイナミクスの理論』
平成24年度
・中 惇 『電子型誘電体における電子状態と誘電的性質の研究』
平成22年度
・金森悠 『電荷・スピン結合系における光誘起現象の理論』
・那須譲治 『軌道縮退系におけるフラストレーション効果の理論』
平成19年度
・田中孝佳 『遷移金属化合物における軌道状態と不純物効果の理論的研究』
修士課程修了者の進路
・大学院後期課程
・民間企業(富士フィルムソフトウェア、日本メディカルマテリアル、セイコーエプソン、東芝松下ディスプレーテクノロジー、三菱
東京UFJ銀行、富士通、リコー、東芝)
・高等学校教員
博士課程修了者の進路
・国立大学博士研究員
・民間企業(NECトーキン、NEC)
・国立大学助教
・独立行政法人研究所博士研究員
輪講で用いたテキスト
平成26年度
磁性I, 久保健、田中秀数 (朝倉)
平成25年度
Many-Body Quantum Theory in Condensed Matter Physics, H. Bruus, and K. Flensberg (Oxford)
平成23年度
Quantum Theory of Many-Particle Systems, A. L. Fetter and J.
D. Walecka (Dover)
平成22年度
Theory of Superconductivity, J. R. Schrieffer (Addison
Wesley)
平成21年度
経路積分 −量子力学から場の理論へ− スワンソン (吉岡)
平成20年度
Interacting Electrons and Quantum Magnetism, A. Auerbach
(Springer)
平成19年度
Many Particle Physics, G. D. Mahan (Plenum)
平成18年度
Lecture Notes on Electron Correlation and Magnetism, P.
Fazekas (Workd Scientific)
平成17年度
Theory of Superconductivity, J. R. Schrieffer (Addison
Wesley)
修士課程一年で紹介した論文
平成26年度
"Resistance Minimum in Dilute Magnetic Alloys"
J. Kondo, Prog. Theor. Phys. 40, 683 (1967)
"Slow Electrons in a Plar Crystal"
R. P. Feynman,
Phys. Rev. 97, 660 (1955)
"Remarks on Bloch's Method of Second Waves applied to
Many-Fermion Problems"
S. Tomonaga, Prog. Theor. Phys. 5, 544 (1950)
平成25年度
"Introduction of "Toward Systematic Understanding of Diversity of Electronic Properties in Low-Dimensional Molecular Solids"
H. Seo, C. Hotta, and H. Fukuyama, Chem. Rev. 104, 5005 (2004)
平成23年度
"Random-Phase Approximation in the Theory of
Superconductivity"
P. W. Anderson, Phys. Rev. 112, 1900 (1958)
"Soliton excitations in the polyacetylene"
W. P. Su, J. R. Schrieffer and A. J. Heeger,
Phys. Rev. B. 22, 2099 (1980)
平成22年度
"Fermi surface and some simple equllibrium properties of a
system of interacting fermions"
J. M. Luttinger, Phys. Rev. 119, 1153 (1960)
"A poor man's derivation of scalinglaws for the Kondo
problem"
P. W. Anderson, J. Phys. C: Solid State Phys. 3,
2436 (1970)
"Anisotropic Superexchange Interaction and Weak
Ferromagnetism"
T. Moriya, Phys. Rev. 120, 91-98 (1960)
平成21年度
"Absence of Ferromagnetism or Antiferromagnetism in One- or
Two-Dimensional Isotropic Heisenberg Models"
M. D. Mermin and H. Wagner, Phys. Rev. Lett. 17,
1133 (1966)
平成20年度
"Remarks on Bloch's Method of Second Waves applied to
Many-Fermion Problems"
S. Tomonaga, Prog. Theor. Phys. 5, 544 (1950)
平成19年度
"Antiferromagnetism. The Trinagular Ising Net"
G. H. Wannier, Phys. Rev. 79, 357 (1950)
平成18年度
"Considerations on Double Exchange"
P. W. Anderson and H. Hasegawa, Phys. Rev. 100,
675 (1955)
"The Motion of Slow Electrons in a Polar Crystal"
T. D. Lee, F. E. Low, and D. Pines, Phys. Rev.
90 297 (1953)
平成17年度
"Correlation of Electrons in a Narrow s Band"
M. C. Gutzwiller, Phys. Rev. 137, A1726 (1963)
"Electron Correlation and Ferromagnetism of Transition
Metals"
J. Kanamori, Prog. Theor. Phys. 30, 275 (1963)
平成16年度
"Theory of Superconductivity"
J. Bardeen, L. N. Cooper, J. R. Schrieffer,
Phys. Rev. 108, 1175 (1957)
"Resistance Minimum in Dilute Magnetic Alloys"
J. Kondo, Prog. Theor. Phys. 40, 683 (1967)
平成15年度
"Electron Correlations in Narrow Energy Bands"
J. Hubbard, Proc. Roy. Soc. A, 276, 238 (1963)
"New Approach to the Theory of Superexchange Interactions"
P. W. Anderson, Phys. Rev. 115, 2 (1959)
"Effective Hamiltonian for the Superconducting Cu Oxides"
F. C. Zhang, and T. M. Rice, Phys. Rev. B 37,
3759 (1988)